「もう起きて支度しなくていい」
「今日からはイライラする配もない」
退職翌日の朝は、そんな解放感で胸がいっぱいになります。
毎日マスクと白衣に身を包み、長時間の立ち仕事と患者対応に追われてきた歯科衛生士にとって、この瞬間はまるで世界が変わったように感じられるのです。
昨日までのストレスやプレッシャーが一気に消え、布団の中でゴロゴロしながら「これからの人生は自分のためにあるんだ」と思える――それが辞めた翌日のリアルなウキウキ感です。
でも、その解放感に浸るだけではいけません。
退職した後には、必ず済ませておきたい大切な手続きが待っています。
退職翌日にやるべき行動
退職翌日は、心からの解放感に包まれる特別な一日です。
ただし、社会保険や税金といった制度は待ってはくれません。
必要な手続きを後回しにすると、未納や遅延で不利益を受ける恐れがあります。
ここからは、退職したらまず確認しておくべき大切な行動を4つにまとめて紹介します。
年金、健康保険、雇用保険、税金――どれも新しい生活を安心して始めるために欠かせないものです。
年金の切り替え
会社員として加入していた厚生年金は退職と同時に資格を失います。
20歳から60歳までは必ず国民年金に加入しなければならないため、退職から14日以内に市区町村役場で手続きが必要です。
配偶者の扶養に入る場合は「第3号被保険者」として申請することになります。

年金の未加入は将来の年金額に直結します。
必ず期限内に役所で切り替えましょう。
健康保険の切り替え
退職日の翌日から、会社の社会保険は使えなくなります。そこで選べるのは次の3つです。
任意継続被保険者制度
退職前に加入していた社会保険を最長2年間続けられる制度です。申請は退職から20日以内に必要で、保険料は全額自己負担(会社負担分も含む)となります。前年の給与が高い場合は負担が大きくなるケースもあるので要注意です。
国民健康保険
市区町村の窓口で加入します。保険料は前年の所得に応じて決定されるため、退職直後は思った以上に高額になることもあります。
家族の健康保険に入る(被扶養者になる)
配偶者や親など、条件を満たす家族の扶養に入る方法です。収入要件(年収130万円未満など)を満たせば、保険料を自分で払わずに加入できます。



退職後の状況や収入によって、どれが一番有利かは変わるの。
まずは“任意継続・国保・扶養”の3つを比べて、自分に合う方法を選びましょう。



役場に行けば窓口の担当者が詳しく説明してくれますよ。
雇用保険の申請
再就職までに期間が空く場合、失業手当を受給するためにハローワークでの申請が必要です。
離職票が届いたらすぐに持参して手続きを行いましょう。
自己都合退職の場合、7日間の待機期間に加え、原則2〜3か月の給付制限があります。



離職票が届いたらすぐにハローワークへGo!
申請が遅れると、その分だけ給付も後ろ倒しになりますよ。
税金関連の申告と支払
退職した年の12月31日時点で無職の場合は、確定申告が必要になります。
源泉徴収票を受け取り、医療費控除などがあればあわせて申告を行いましょう。
住民税
前年の所得に基づいて課税されるため、退職後も納付が必要。通常は普通徴収に切り替わり、納付書で支払う。
所得税
源泉徴収票を受け取り、年の途中で退職し12月31日時点で無職なら確定申告が必要。医療費控除や扶養控除なども申告で調整できる。



退職後は収入が減るから、住民税の負担が思った以上に重く感じることも・・・。
もし、これらの行動を怠ったら?
退職翌日、「もう自由だ!」と解放感に酔いしれてばかりいると、現実はすぐに牙をむきますよ!
・年金を切り替えなかった場合
「まだ若いし大丈夫」と思って放置すると、気づけば未納期間が積み重なり、老後の年金額が大幅に減少します。将来の自分に「なんであの時・・・」と泣きつくのは、他でもない自分自身です。
・健康保険を切り替えなかった場合
うっかり風邪で病院に行ったら、窓口で「保険証が使えません」と突き返され、数万円の医療費を請求される・・・。独身一人暮らしの財布にとって、これは致命的なダメージになります。
・雇用保険を申請しなかった場合
「そのうち行けばいいや」と後回しにした結果、失業手当の給付が遅れ、家賃や生活費の支払いに追われる日々。クレジットカードの請求に怯え、夜眠れなくなる現実が待っています。
・税金を無視した場合
役所から届く督促状を、開封せず机に積み重ねる日々。気づけば延滞金が膨らみ、スマホ代すら払えなくなる…。支払いの紙の束を前に「なんで辞めたのに、まだ追われるの?」と計画性の無い自分に後悔するかも・・・



退職はゴールじゃなくてスタートです。
特に独身で一人暮らしなら、頼れるのは自分だけなので、解放感を味わいながらも、“現実の守り”を怠らないことが、明日を安心して迎える唯一の方法ですよ。
まとめ
退職翌日は、解放感を味わえる特別な朝ですが・・・
けれど同時に、年金・健康保険・雇用保険・税金という4つの重要な手続きを進めることが、安心して次の一歩を踏み出すためのカギとなります。
自由を楽しみつつ、現実的な準備をひとつずつ整えていきましょう。
コメント
コメント一覧 (1件)
私は辞める時に離職票をお願いしますと言ったら「次の職場は決まってるから必要ないでしょ!」と半キレ気味に言われました。
歯科医院は個人経営者が多いから困りますよね!