2024年10月頃、このブログから問い合わせをくれた一人の女性がいました。
彼女は当時27歳、両親と同居しながら車で30分ほどの中型クリニック(関東)に勤務する歯科衛生士。
毎日の仕事は単調で、「私はロボットなのかな?」と思うほど、刺激のない日々に悩んでいました。
「転職した方がいいのかな?」と考えていた彼女は、ブログ経由でわたしに連絡が入り、SNSでのやり取りが始まりました。
私は、「まずは紹介会社を活用してみては?」とアドバイス。
求人探しや問い合わせの手間を省き、自分の希望に合った医院を紹介してくれる仕組みを説明しました。
何度かのやり取りがあり、彼女も納得して紹介会社へ登録することを決意しました。
しかし、その後・・・
1ヶ月ほど連絡が途絶え、不安に思った私がメッセージを送ると、数日後に長文の報告が届きました。
紹介会社が示した「転職以外」の選択肢
紹介会社の担当者(社長・女性)は、彼女の経歴を高く評価しつつも、「好条件の医院に転職しても、数年後には同じ悩みを抱えるかもしれない」と指摘したそうです。
「今より少し良い条件を得ても、今まで積み上げた信頼や功績は転職先には引き継げない」
「辞めたいほど今の職場が嫌なら転職しても後悔はしない。でも、環境を変えたいだけなら、あなた自身が変わった方が先は明るいと思う」
最初は突き放されたように感じ、思わず涙目になったという彼女。
しかし、続いた言葉は意外なものでした。
「今の職場を辞めるのは勿体無いから続けなさい。そのうえで、水曜日だけ訪問診療の仕事を試しては?」
彼女はもともと水曜の午後が半休でしたが、紹介会社に「希望すれば水曜を1日休みに変更できる」と伝えていました。
紹介会社はそこに合わせ、訪問診療のアルバイト案件を用意してくれていたのです。
見放されたのではなく、本当に自分の将来を考えてくれているのだと実感し、彼女は迷わず「お願いします」と返事をしました。
初めての訪問診療と新しいやりがい
2週間後、水曜日に訪問診療の仕事がスタート。
施設には診療室が整備されており、備品も揃っていたため、初勤務の不安を除けば問題なく仕事をこなせました。
先生は定年まで病院勤務していた穏やかな方で、カルテの見方や備品の場所まで丁寧に指導してくれました。
患者様は施設の入居者のみ。
混雑もなく和やかな雰囲気のなか診療が進み、彼女もお菓子や缶コーヒーをいただき、初日から「自分の居場所」を感じたと言います。
昼食は施設の食堂で先生やスタッフと一緒にいただき、午後は同じグループの施設を2軒まわりました。
ここでも診療は穏やかに進み、患者様や施設職員との会話も和やかな雰囲気。
2軒目の診察を終える頃には初日の緊張も薄れ、「続けられそう」と感じられるほどでした。
最後は先生に最寄り駅まで送っていただき、そこで解散です。
1日に3施設を訪問する流れは大変そうに思えましたが、実働時間は約5時間で、移動や昼食の時間まで時給に含まれている点に感謝していると綴られていました。
彼女は水曜日の訪問診療を続けながら、本来の常勤先でも以前とは違う前向きな姿勢で働けるようになったそうです。
まとめ|歯科衛生士の働き方は一つじゃない
彼女の話から学べるのは、「転職」だけが答えではないということ。
紹介会社は、再就職を成立させれば高額な紹介料を得られたはずなのに、あえて「別の働き方を試す」道を提案しました。
その結果、彼女は現職を続けながら、新しいやりがいを得ることができたのです。
歯科衛生士として悩んだとき、職場を変えるかどうかだけにとらわれず、複数の働き方を掛け合わせる発想も大切。
信頼できる紹介会社や相談相手に出会えれば、選択肢はもっと広がります。
わたしも現役の歯科衛生士として、今回の経験談を通じて改めて感じました。
働き方は一つではなく、自分に合った形を見つけることが何より大切なのだと。
最後に、
私は彼女の悩みに「今の職場を辞めたいなら、紹介所から転職した方がいいよ」としか言えませんでした。
しかし、彼女が登録した紹介所では、転職するのではなく休日を利用して別の歯科衛生士の働き方を試しなさいとアドバイスを送ったのです。
本当に凄い紹介会社さんですよね!
会社の利益よりも、1人の歯科衛生士の未来を優先し、悩みを「解決」ではなく「解消」に導いてくれた――その姿勢に心から敬意を抱きます。
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