歯科衛生養成学校の受験に興味を持っている方にお聞きします。
皆さんは「歯科衛生士」を目指す上で、資格の取得状況や就職先について調べたことはありますか?
実は、歯科業界は長年にわたって慢性的な人手不足が続いています。
しかし、この現状はテレビや新聞などのメディアでは滅多に取り上げられることがありません。
そこで、歯科衛生士の資格取得者数や就職状況についてのデータを詳しくご紹介します。
進学を検討している方は、将来の働き方をイメージしながらぜひご覧ください。
全国の歯科衛生士の人数と主な就職先
歯科衛生士数の資格所得者は年々増加しています。
令和4年度は、145183人(2年前から2,423人増)が誕生しました。
就業場所の割合はでは、診療所(クリニック)が約91%、次いで病院が約5%でした。
年代別にみると、働き盛りである25~29歳が就業人数のピークとなり、50代までは離職する率もそれほど高くありません。
歯科衛生士の就業者数の推移
平成 | 令和 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
20年 | 22年 | 24年 | 26年 | 28年 | 30年 | 2年 | 4年 |
96,442 | 103,180 | 108,123 | 116,299 | 123,831 | 132,629 | 142,760 | 145,183 |
この数字は、資格を持つ総人数ではなく、歯科衛生士として働いている人数です。
令和2年の人数は、平成20年から約1.5倍に増加しています。
歯科衛生士が活躍する職場とは?
歯科衛生士は、国家資格を取得することで幅広い就職先があり、安定した職業として人気があります。
全国の歯科診療所数は約66,000軒超え!
慢性的な人手不足が続いているため、新卒者の就職率は限りなく100%に近い数字です。

主な就職先としては?
- 歯科診療所(クリニック):歯科衛生士の約91%が勤務
- 病院(歯科口腔外科):約5%が勤務し、外科的処置のサポートも行う
- 介護施設・訪問歯科:高齢者の口腔ケアを担当
- 企業・研究機関:歯科材料メーカーや医薬品会社で活躍
国家試験の合格率は毎年90%以上と高水準ですが、養成学校の入学定員は充足率が低下傾向にあります。
そのため、今後も歯科衛生士の需要は高まり、就職先の選択肢も広がるでしょう。
資格取得を目指す方は、「どんな働き方をしたいのか」を考え、最適なキャリアプランを設計することが大切です。
歯科衛生士(人) |
割 合(%) |
|
---|---|---|
総 数 |
142,760 |
100 |
診療所 |
129,758 |
90.9 |
病 院 |
7,029 |
4.9 |
保健所 |
671 |
0.5 |
都道府県 |
70 |
0 |
市町村 |
2,060 |
1.4 |
介護保険施設等 |
1,258 |
0.9 |
事業所 |
301 |
0.2 |
歯科衛生士学校又は養成所 |
1,006 |
0.7 |
その他 |
607 |
0.4 |
※都道府県は2016年に介護保険施設等は2018年から追加されました。



全体の1パーセントにも満たない、「事業所」や「その他」とは?



主に、医薬品・製薬会社の開発部門や顧客営業、治験関連のスタッフとして働いている方が多いです。
また、ある程度の年齢になると新人歯科衛生士のセイミナー講師や専門学校の指導者として働く人もいます。



私の知り合いにも、大手メーカーに勤務している男性歯科衛生士さんが一人いますよ。
年代別の歯科衛生士の就業状況
25歳 未満 |
~29歳 |
~34歳 |
~39歳 |
~44歳 |
~49歳 |
~54歳 |
~59歳 |
~64歳 |
65歳 以上 |
合計 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
H24 |
12,369 |
20,650 |
15,546 |
16,226 |
15,478 |
12,664 |
8,396 |
4,199 |
1,833 |
762 |
108,123 |
H26 |
12,614 |
19,587 |
16,693 |
16,701 |
17,104 |
14,461 |
10,131 |
5,557 |
2,306 |
1,145 |
116,299 |
H28 |
13,996 |
17,807 |
17,865 |
16,673 |
18,371 |
16,267 |
11,400 |
6,971 |
2,900 |
1,581 |
123,831 |
H30 |
14,654 |
17,737 |
18,190 |
17,220 |
18,992 |
17,586 |
13,654 |
8,565 |
3,894 |
2,137 |
132,629 |
R2 |
15,025 |
19,688 |
17,182 |
19,047 |
18,840 |
19,232 |
15,051 |
10,608 |
5,251 |
2,836 |
142,760 |
R4 | 14,165 | 20,318 | 16,108 | 18,998 | 18,186 | 19,142 | 16,082 | 11,523 | 6,485 | 4,176 | 145,183 |
右端は【業務従事者数の合計人数】です。
歯科衛生士養成校の最新動向と志願倍率





定員割れが続いていますね!
歯科業界では人材不足が深刻化しているものの、進学を希望する学生が減少しているのが現状です。
H27年 |
H28年 |
H29年 |
H30年 |
R元年 |
R2年 |
R3年 |
R4年 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
入学定員充足率 |
91.8% |
89.8% |
89.0% |
83.6% |
85.9% |
86.1% |
91.2% |
88.9% |
入学者が定員に満たない割合 |
47.1% |
48.7% |
55.9% |
59.9% |
63.0% |
61.3% |
48.3% |
54.3% |
志願者倍率 |
1.26 |
1.21 |
1.21 |
1.09 |
1.09 |
1.1 |
1.22 |
1.13 |
志願者が定員に満たない割合 |
32.5% |
36.1% |
37.9% |
44.4% |
50.0% |
45.8% |
35.5% |
40.0% |
令和4年度の歯科衛生士養成校への入学者数は、前年より104人増加し、合計8,547人となりました。
その内訳は以下のとおりです。
- 専門学校:7,014人
- 短期大学:1,064人
- 大学:469人
最後に、国家試験の受験者数と合格者数についても詳しく見ていきましょう。
歯科衛生士国家試験の合格者数と合格率の推移
開催回(年) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
第14回(平成17年) | 6,743名 | 6,467名 | 95.9% |
第15回(平成18年) | 7,312名 | 7,012名 | 95.9% |
第16回(平成19年) | 7,040名 | 6,605名 | 93.8% |
第17回(平成20年) | 6,361名 | 6,103名 | 96.0% |
第18回(平成21年) | 6,038名 | 5,757名 | 95.3% |
第19回(平成22年) | 5,929名 | 5,761名 | 97.2% |
第20回(平成23年) | 5,788名 | 5,585名 | 96.5% |
第21回(平成24年) | 3,661名 | 3,507名 | 95.8% |
第22回(平成25年) | 6,064名 | 5,832名 | 96.2% |
第23回(平成26年) | 6,685名 | 6,492名 | 97.1% |
第24回(平成27年) | 6,753名 | 6,475名 | 95.9% |
第25回(平成28年) | 7,233名 | 6,944名 | 96.0% |
第26回(平成29年) | 7,218名 | 6,737名 | 93.3% |
第27回(平成30年) | 7,374名 | 7,087名 | 96.1% |
第28回(平成31年) | 7,207名 | 6,934名 | 96.2% |
第29回(令和2年) | 7,216名 | 6,808名 | 94.3% |
第30回(令和3年) | 7,099名 | 6,624名 | 93.3% |
第31回(令和4年) | 7,416名 | 7,087名 | 95.6% |
第32回(令和5年) | 7,470名 | 6,950名 | 93.0% |
第33回(令和6年) | 7,950名 | 7,346名 | 92.4% |
いかがでしたか?
歯科衛生士の資格を持つと、就職先に困らないと言われていますが、国家資格に合格することは以外にも「狭き門」ではありません。
毎年の合格率は90%を超え、その合格者の多くは「希望する歯科医院」への就職を決めています。
専門学校への進学に不安を感じているのであれば、願書を提出する前までに担任や進路指導に相談して、納得してから決断してくださいね。


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