歯科コンサルと一口にいっても、その顔ぶれは実に多様です。
現役の歯科医を名乗る人、私と同業の歯科衛生士、元製薬会社の営業経験者、さらにはフォロワー数20万人を超える会計士まで、肩書きだけを見ると心強く感じる存在も少なくありません。
歯科医院が狙われやすい背景には、多くが個人経営である点が挙げられます。
診療に加え、専門器具や薬品の発注、勉強会、技工所とのやり取り、請求や支払い確認、スタッフ管理までを院長一人で担っている医院は少なくありません。
慢性的な人手不足の中で、経営に十分な時間を割けない状況が続いているのが現実です。
その結果、ホームページやブログが長期間更新されていない、SNSが止まったままというケースも目立ちます。
少し整えるだけで改善できそうな余地があるからこそ、外部からの営業が入り込みやすくなります。
良心的なコンサルに出会えれば、売上の底上げだけでなく、人手不足の解消につながる可能性があるのも事実です。
注意したい歯科コンサルの実例とリスク
ただし、すべてのコンサルが信頼できるとは限りません。
歯科コンサルは資格や届け出が不要なため、名刺を作れば誰でも名乗れてしまいます。
歯科に特化した知識や実績より、巧みな営業トークだけで契約を取る人も存在します。
実際に、私の知り合いの医師が30万円を支払い、集客を期待できるオリジナルデザインのホームページ制作を依頼した例があります。
制作は完全に任せてほしいと言われ、忙しさもあって途中確認は最小限にとどめ、院内写真など必要最低限の素材だけを提供しました。
完成直後は見栄えもよく、今後への期待を感じたそうです。
しかし、半年経っても患者数は増えず、アクセス数も月200程度にとどまりました。
さらに製薬会社の担当者から「系列医院ですか」と聞かれたことで違和感を覚え、調べてみると、他院のホームページとデザインや構成、宣伝文句までがほぼ同一だったのです。
院内写真や院長コメントを除けば、色味以外は見分けがつかない状態でした。
問い合わせても、デザインに著作権はなく、似せて作ることは問題ないという説明だけで、その後のフォローはありませんでした。
結果として、残念なコンサルに当たったと後悔することになったそうです。
後日、勉強会で情報共有をしたところ、同様の手口で訴訟トラブルになっていた事実も判明したそうです。
スタッフ接触と営業手法への注意点
もう一つ注意したいのが、スタッフとの接触です。
働き方の改善を目的としたヒアリングを理由に、歯科衛生士へ直接接触を求めてくるケースがありますが、その実態は別の目的かも知れません。
本当の目的は、歯科衛生士から医院に対する不満を聞き出し、転職につなげるための情報収集であることです。
その流れで、冗談交じりに転職の話題を振り、関心を探る手法が取られることもあります。
すべてがトラブルへ発展するわけではありませんが、新規でコンサルを導入した後にスタッフが退職するケースが、全くないとは言い切れないのも現実です。
いわゆる引き抜き工作ですね?
信頼関係が十分に築かれるまでは、スタッフとの接触範囲や情報共有の在り方に注意を払う必要があります。
また、コンサルを名乗りながら技工物や関連サービスの営業を行うこともあります。
疑わしいコンサルを避けるには、飛び込み営業、テレアポ、求人募集の問い合わせなどから届くDMは基本的に無視する姿勢が有効です。
いい歯科コンサルの見極め方と現実的な対策
では、いいコンサルはどう見極めるのか。
正直なところ、明確な基準はありません。
私は経営者ではないため、コンサルに依頼した経験も相談した経験もありません。
ただ、医療コンサルの例を見ると、スキルを出し惜しみせず、無料の段階でも一定の成果や気づきを感じさせてくれる傾向があります。
その上で信頼関係を築き、より効果的な案件へ進む流れが自然です。
そして最後に、
もし現時点で外部に予算をかけたくないのであれば、事務と歯科助手を兼ねる人材の採用も一つの方法だと思います。
サイト更新やSNS管理、レビュー対応まで担えるスタッフが1人いれば、多くの課題は院内で解決できます。
外に任せる前に、まず内側を整えること。
それが結果的に、無理のない経営と安定した医院運営につながっていくのではないでしょうか。


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