歯科医院では、受付や診療室だけでなく、カルテ閲覧やレントゲン画像の確認など、院内の至る場所にパソコンが設置されています。
治療チェアの頭部モニターで患者に画像を見せる場面も日常的です。
その多くが業務に直結する以上、OSの状態は情報管理の根幹といえます。
そんな中、Windows10を使い続けている医院の実情を知り、見過ごせない課題を感じる出来事がありました。
後輩から届いた相談連絡
ある日、後輩から不安げな連絡が入りました。
正社員として働いているチェア5台の中規模クリニックで、院内の多くのパソコンがWindows10のまま使われているというのです。
患者のカルテや個人情報を扱う端末も含め、長い間見直された様子はなく、その状態で業務が続いていることに違和感を覚えていました。
彼女は私に「大丈夫でしょうか?」と率直に尋ねてきました。
実際に、2025年10月15日以降は、Windows10をネットに繋いだまま使用することが危険だと報じられています。
買い替えに伴うアプリ設定やファイル移動の手間を避ける方法として、有料の延長サポートを受ける選択肢もありますが、そのような対応は絶対にしていないと言い切られたそうです。
院長は50代後半の男性で、日常業務ではパソコンを頻繁に使っています。
一方で、アップデートやセキュリティに対する関心は高くなく、その認識の差が後輩の不安をさらに強めていました。
当時は、どの端末がどのような状態なのか、正確に整理されていなかったといいます。
ただ、院内の多くのパソコンが長期間Windows10のまま運用されていることだけは、はっきりしていました。
ネット未接続という思い込みの危うさ
彼女からの質問に、「勇気を出して院長先生に尋ねてごらん」と、助言とも言えない言葉を返しました。
しばらくして戻ってきた返事には、「インターネットに繋げていないから大丈夫」でした。
パソコンに疎い人は、インターネットを閲覧していない限り、ネット回線には繋がっていないと思い込んでいる人が多いようです。
彼女はそれでも不安が拭えず、「本当に大丈夫でしょうか」と聞いてきました。
そこで、「右下のネット接続のロゴを確認してみて」「分からなければ、同じ右下にある時計をクリックして、秒単位まで正確に動いていたら、確実にネットに繋がっているよ」と伝えました。
その直後、「今、すべてのパソコンの電源を切りました」という緊急めいた連絡が・・・。
しばらくして、「レセコンや受付回りのパソコンは2年前に購入したので大丈夫でした。それ以外のパソコンはWindows10のまま、ずっとネットに繋ぎっぱなしだったみたいです」「どうしたらいいですか?」という返事が届きました。
今すぐ整理したい現実的な対応順
まず必要なのは、現在使用しているパソコンがWindows11へ移行可能かを確認することです。
Windows11へ移行可能なパソコンの確認
条件を満たしていれば、早急に更新を行うことで環境を維持できます。
注意したいのは、過去にWindows10からWindows11にアップデートしたパソコンです。
特に2018年以前に購入したパソコンは、CPUの世代によって要件を満たしていないケースが少なくありません。
既に、Windows11として使える環境だから大丈夫ではなく、11であってもプロセッサの型式が対応世代かを必ず確認する必要があります。
Windows10 世代の確認方法
確認方法が分からない場合は、「windows10 世代の確認方法」と検索すれば、具体的な手順が上位に表示されます。
難しい操作は不要なため、早めに確認しておくと判断がしやすくなります。
Windows11へ移行が不可な時の対応
要件を満たしていない端末については、Windows11のパソコンに買い替える必要があります。
業務で使う以上、非推奨な状態で使い続ける判断は避けたいところです。
たとえ、セキュリティソフトが入っていたとしても、「2025年10月以降は監視対象外」のような案内がされていると思います。
買い替え後の操作や、設定の切り替えに不安がある場合は、取引のあるベンダーへ相談するのも現実的な選択です。
業務を止めずに進めるためには、無理をせず外部の手を借りる判断が重要になります。
環境の確認を後回しにすると、結果的にリスクが大きくなります。
放置しないことが、最も基本的で確実な対策です。
余裕がない対応が招いた想定外の負担
後輩の医院では、取引のあるベンダーさんから紹介されたITサポート会社に依頼し、翌日に通常診療を続けながら、パソコンの入れ替えと再設定、データ移行までを一気に進めたそうです。
急な対応だったため、パソコンは家電量販店で持ち帰り可能な新機種を2台購入し、受付で使っていたパソコン1台も治療室へ移動したと聞きました。
費用は、パソコン2台分に加えて、設置作業、バックアップ、データ移行、医療系ソフトの再インストールや設定まで含めると、パートさん1人分の年収に近い金額になったそうです。
もし時間に余裕がある段階で、院内スタッフと相談しながら10月までに少しずつ対応していれば、パソコン2台分の出費だけで済んだ可能性もありましたよね。
結果として、慌てて動くほど負担は大きくなるという現実を、強く実感する出来事だったようです。
日々の診療が優先されがちな歯科医院だからこそ、後回しにせず、余裕のあるうちに確認と準備を進めておくことが、結果的に医院とスタッフを守ることにつながります。
何も起きていない今こそが、動ける最善のタイミングではないでしょうか。


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